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協栄産業のペットボトルリサイクル専用工場にあるプラント=栃木県小山市の同社MR・ファクトリー(同社提供)


再生樹脂製造を手がける協栄産業(栃木県小山市)は、使用済みペットボトルから、原油由来と遜色(そんしょく)ない品質のペットボトルを作る技術を開発し事業化にも成功した。


大手流通や飲料メーカーと協働し、新たなリサイクルの仕組みを構築、再生ペットボトルとしての利用に確かな道筋をつけた。


使用済みペットボトルは、自治体による回収を経て、同社のグループ会社の工場に持ち込まれる。
ここで選別、粉砕、洗浄してフレーク状の小片にしたあと、協栄産業のペットボトルリサイクル専用工場「MR・ファクトリー」(同)に移送。細かな粒状にしてから高温真空状態のもとで不純物を除去し、未使用のものと同品質のPET樹脂に戻す。

これを新たなペットボトル原料として、ボトルメーカーに引き渡す仕組みを作り上げた。

使用済みペットボトルからは繊維や卵パックができることは知られているが、ペットボトルへのリサイクルは容易ではなかった。
というのも、リサイクルのたびにPET樹脂の品質や強度が落ちるため、ペットボトルからペットボトルへのリサイクルは難しいとされていた。


そこで同社は、PET樹脂に入り込んだ不純物を、特殊な洗浄と高温真空状態にして除去するとともに品質を回復させる技術を独自に開発。飲料メーカーの要求に応えられる高品質のPET樹脂に再生できるようにした。

このPET樹脂は、2011年にはサントリー食品インターナショナル、12年にはキリンビバレッジで採用された。

日本国内で発生する使用済みペットボトルは年間60万トン。
このうち約30万トンが中国など海外に資源として輸出されている。
古沢栄一社長は使用済みペットボトルを身近な石油資源「都市油田」と位置づけ
「貴重な石油資源がそのまま海外に流出してしまうのは、日本の国富を失うのと同じ。日本国内でペットボトルに再生できる道筋をつける必要がある」
と、その社会的意義を強調する。

1997年に容器包装リサイクル法が本格施行されてから、消費者の協力により日本で回収される使用済みペットボトルは世界でも例がないほどきれいなものになっている。

だからこそ、それを国内でしっかりと活用し
「ペットボトルがペットボトルに生まれ変わる」
という消費者に最も分かりやすい国内循環の仕組みを構築する必要があった。
それを求心力に、既存用途も含めてペットボトルのリサイクルを活性化させるという考えだ。

古沢社長は10年前
「消費者の協力に応えるにはペットボトルに戻す技術の開発が不可欠」
と判断、リサイクル技術の確立に乗り出した。
技術の確立後、飲料メーカーに再生ペットボトルの採用を呼びかけたが、安全面での懸念などから良い感触が得られなかった。
こうした中、最初に前向きな姿勢を示したのがサントリー食品インターナショナルだった。

同社は2010年に再生材料由来のラベルを採用。
その後1年にわたって安全性を検証した。
その結果、問題が全くないことが分かったため、11年に再生ペットボトルを採用した。
当初は再生樹脂を50%配合したものだったが、12年には再生樹脂100%のペットボトルを実用化。
石油由来の原料を一切使用しないペットボトルが日本で初めて誕生した。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングによると、協栄産業が再生樹脂生産に伴い発生する二酸化炭素(CO2)量は、石油から新品を作るよりも約60%削減できるという。

同じ用途で繰り返し使える「水平リサイクル」の実現は、限りある石油資源の有効活用とCO2の大幅削減につながる。

東日本大震災後の原発稼働停止、さらに円安も重なって、石油価格の上昇が続く。
それに連なるかたちでペットボトルの原材料価格も上昇基調にある。協栄産業のもとには、環境に対する消費者意識の高まりを受け、他の飲料メーカーなどからも再生樹脂に関する問い合わせが来ている。

古沢社長は「
飲み終わったペットボトルからラベルをはがしキャップを取って、軽く水ですすぐという今では当たり前の習慣が再生樹脂100%のペットボトルを可能にしている。限られた資源を最大限に活用することで消費者の協力に応えていきたい」
と話す。